でも、なぜこのような簡単な仕掛けだけで、点灯したのでしょうか?
普通の乾電池(マンガン電池の場合)の仕組みは、正極活物質として、炭素棒および二酸化マンガンが使われて、放電時に水素を発生します。負極は電池の周囲を覆っている亜鉛が使われ、放電すると亜鉛が溶けてイオンとなります。電解質に塩化アンモニウムが使用されているのですが、のりと綿を加えて外にこぼれないように工夫されています。
しかし、今回作った備長炭の電池はちょっと原理が違うのです。
備長炭は直接に反応に関わるのではなく、炭の中の酸素を提供するという役割なのです。
つまり、炭に含まれている気泡中の酸素と、イオン化したアルミホイルが反応して電気が発生しているのです。このような仕組みで電気を発生するところから、この電池は空気電池と呼ばれています。
ただ、この正極に使用されるものは、酸素を多く含むからといって、「へちま」などではいけません。
やはり、導電性のあるものでないとね!
備長炭は普通の炭より導電性が高く、その上、活性度といって空気の吸着する表面積の割合が大きいためにこのような電池に向いているそうです。
起電力を測定してみたところ、約0.9Vありました。しばらくすると、0.7Vくらいまで下がり、光も消えてしまうのですが、アルミホイルの上から備長炭をギュッと握りしめてみてください。
そうすれば、またまたボヤッと光るのです。暗いところでこれを繰り返しやってみると、そのさまはまるで
「蛍の光」そのもののようでした。
豆電球は1.5V、2.2V、2.5V用などがありますが、1.5Vを超える豆電球や点灯時に1.9V以上必要な発光ダイオードを使用する場合はこの電池を2〜3個直列につなげば大丈夫!・・・だと思います。
<用意するもの>
電子レンジ、蛍光灯(勿論、電子レンジに入りきる大きさもの。)
今回私は蛍光ボールと称するものでやりましたが、ドーナツ型や短い棒状のものでOK。実は白熱灯でも大丈夫。
<やり方>
用意した蛍光灯をレンジでチンするだけ。
3秒くらいで発光を始めますが、10秒以内でやめてくださいね。
切れてしまったはずの蛍光灯が見事に復活!素晴らしく光ってるでしょ!
でもなぜ?このような現象が起きたのでしょうか?
これは最近よく耳にするようになった「プラズマ」と関係があるようなのです。
でもこの「プラズマ」って一体何物なのでしょうか?
「プラズマ」とは固体、液体、気体につづく第4の状態だそうです。
物質は温度を上昇させていくと、固体から液体、気体へと変化していきますよね。
さらに高温になると、原子核の周りを回っていた電子が電離し原子核(イオン)と電子が自由に運動できるようになります。このような荷電粒子の集団をプラズマというそうです。
そして、このプラズマ状態を発光させるために、電波が必要になるのです。
普通物が燃えるときには、酸素を必要としますよね。プラズマはその代わりに電波を得て発光するのです。
蛍光灯の中には水銀や不活性ガスが入っています。
そして電子レンジの方はスイッチを入れると、24億5千万Hzもの電波(マイクロ波)を放出します。
電子レンジに蛍光灯を入れてチンすると、蛍光灯の中の水銀や不活性ガスが電子レンジの電波でプラズマ状態となり、励起され発光したのです。
ですからいくら玉切れになってても、恐らくその原因は蛍光灯のフィラメント部分なので、
内部の水銀や不活性ガスには影響なく、玉切れといえども点灯したということなのです。
このプラズマ現象ですが、自然界では太陽や雷、また身近なところでは、今回の蛍光灯やアーク溶接、コンピュータディスプレイにも利用されているのですね。
冒頭でも申し上げましたが、今回で「智恵の実験教室」は終了です 。
いろいろ実験をすすめるうちに、身をもって体験する素晴らしさを知りました。
いろんな不思議に出会い、なぞを解いていく楽しさもありました。
皆さんも是非、いろんな実験をやってみて下さい。私もまた、楽しい実験を見つけて、再び皆さんにお会い出来ることを楽しみにしています。
そのときにはまた宜しくお願いしますね!
この1年間、本当にありがとうございました。
新日本製鐵 広畑製鐵所
上橋 智恵