| 学生時代、「水の電気分解」の実験をされた方はたくさんおられるのではないでしょうか? 水酸化ナトリウム水溶液を電気分解して、それぞれの極から発生する気体を試験管に取っておき、 体積を比較したり、線香を近づけてその反応を調べたりした記憶があります。 今回は、まず備長炭を使って塩水の電気分解を行います。その後、電気分解で発生した気体を使 って、燃料電池の実験もやってみます。 用意するもの ・ペットボトル(1.5L) ・備長炭2本(※1) ・単3アルカリ乾電池2個 ・電池ケース ・ミノムシクリップ付コード2本 ・ハンディ扇風機(※2) ・塩水 ※1の備長炭はペットボトル用のもので、ホームセンター で購入しました。長さ10pくらいのものです。 ※2のハンディ扇風機は100円均一Shopで売られてるもの です。今回は左の卓上型を使ってますが、どんなもの でもOKです。 作り方、やり方 @ ペットボトルを下から11pくらいのところで切ります。 A 備長炭の上の方にアルミホイルを巻き付け 輪ゴムでとめます。 上の方はミノムシクリップを はさめるようにしておきます。 B @のペットボトルにWクリップを2個取り付けて、 そこに2の備長炭の輪ゴムを引っ掛けます。 約450mlの水に塩を約20g入れて よく溶かしてペットボトルに入れます。 アルミホイルに塩水がかからないところまで入れます。 C 燃料電池の実験で使う扇風機の準備も先にしておきましょう! 扇風機の電池入れるところには左の写真のように、 極の繋がっている方と繋がっていない方があります。 繋がっていない方に、電源を繋げるようにします。 ミノムシクリップが挟めたり、リード線を引けるようならそれがいいのですが 難しいようなら写真のようにアルミホイルをセットします。 これで準備が整いました。 まず電気分解をやってみましょう! 単3アルカリ乾電池2本を電池ケースに入れ、 ミノムシクリップで備長炭の上に取り付けたアルミホイルと接続をします。 備長炭からは気体が発生してきます。 この状態で、5〜10分程 電気分解を行います。 備長炭の中は見えないのですが、 備長炭の中には小さな隙間がたくさんあって、 発生した気体はその隙間にどんどん吸着されていきます。 次は燃料電池に挑戦で〜す!. 上の実験で、電池に繋いでいたミノムシクリップを取り外し、 Cで準備しておいた扇風機に接続します。 その後、扇風機のスイッチを入れて うまく回らないときは 少しだけ手で回してみましょう! (モーターは回転し続けているときよりも、起動時のトルクの方が大きいので、 起動時に少し手で助けてやって、一度回り始めると回転し続けます。) 勿論、扇風機を直接アルカリ乾電池に繋いだときに比べると力不足ですが、 それでも1分間くらい回転し続けます。 完全に停止するまでの弱い回転も含めると、約1分30秒 回り続けました。 次に、発光ダイオード 11個並列接続の、 プチデコレーションライトを繋いで実験してみました! この場合は、約6分間 そこそこに明るい状態で点灯し続けました。 薄暗く点灯したままなら完全に見えなくなるまでに約20分間 点灯し続けていました。 なぜなの考察、原理 食塩水を電気分解したときに気体が発生しましたが、どんな反応が起きているのでしょう? 説明の都合上、電気分解のときに 電池のマイナス極に繋いでおいた備長炭をA備長炭、 プラス極に繋いでおいた備長炭をB備長炭とします。 水はそのままではほとんど電気を通しません。 水(H2O)も 電離(イオン化)をしてH+とOH−の状態になっているものが、ほんの少しはあるので ほんの少しは電気を通しますが、もっとよく流れるように電解質として食塩(NaCl)を入れました。 食塩(塩化ナトリウム NaCl)は水に溶かすと、電離しやすく ナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl−) の状態になります。水はほとんどが H2O の分子の状態です。 食塩水の中は 大方 水分子(H2O)、ナトリウムイオン(Na+)、塩化物イオン(Cl−)が存在することになりますね。 備長炭には電池を繋いでいるので、電池のマイナス極から 電子 e−が送られてきます。 (電子は電流と反対で電池のマイナス極から出てプラス極へと移動をします。) <A備長炭の反応> 電池から送られてきた電子2個(2e−)と水の分子2個(2H2O))が反応して、水素(H2)が発生します。 H2O から H+を奪われた OH−は水中に残ります。 発生した水素は、備長炭の隙間に吸着してどんどんたまっていきます。 これを化学反応式で表すと、 2H2O + 2e− → H2 + 2OH− <B備長炭の反応> 水に溶けていた塩素イオンから塩素気体(Cl2)を発生して、電子2個(2e−)を電池のプラス極へ送ります。 発生した塩素は、備長炭の隙間に吸着してどんどんたまっていきます。 これを化学反応式で表すと、 2Cl− → Cl2 + 2e− (食塩水ではなく、水酸化ナトリウム水溶液を電気分解したときは塩素ではなく、酸素が発生します。) 両極での反応には使われなかったNa+も含めて、ひとつの反応式にすると 2NaCl + 2H2O → Cl2 + H2 + 2NaOH となります。 (NaOHも電離しやすいので、水の中にあるときは電離してNa+とOH−の状態です。) 電気分解で発生をさせた気体を使うと、なぜモーターが回ったのでしょう? 燃料電池の仕組みを見てみましょう。 電気分解をしたときに、A備長炭には水素、B備長炭には塩素が吸着をしていましたね。 乾電池を取り外して、モーターを取り付けると・・・ <A備長炭の反応> A備長炭の水素(H2)は、水に溶けていた水酸化物イオン2個 (2OH−)と結びつき、 水分子2個 (2H2O)となります。 そのときに、電子2個(2e−)をモーターへ送り、モーターが回ります。 これを化学反応式で表すと、 H2 + 2OH− → 2H2O + 2e− <B備長炭の反応> B備長炭の塩素(Cl2)はモーターから送られてきた電子2個(2e−)と反応し、 塩化物イオン2個(2Cl−)になります。 これを化学反応式で表すと、 Cl2 + 2e− → 2Cl− 両極での反応には使われなかったNa+も含めて、ひとつの反応式にすると Cl2 + H2 + 2NaOH → 2NaCl + 2H2O となります。 反応式を見ると、電気分解と燃料電池では、全く逆の変化が起きていますね! 電気分解は電気エネルギーを与えて、化学反応を起こし、 燃料電池は化学反応により、電気エネルギーを取り出しています。 それにしても、表面に少しの気泡しかついていなかったのに、長い時間回ります。 これは、電気分解のところでも書きましたが、備長炭には小さな隙間が多数あり、 電気分解で発生した塩素と水素はこの隙間に たくさん吸着しているからなのですね。 「智恵の楽しい実験教室」 「智恵の楽しい実験教室 各号の紹介」 「おもしろ実験と自由研究」 「色の3原色と光の3原色」 光の3原色(加色混合)と色の3原色(減色混合)の違いをシュミレーションしながら計算方法まで解説しています。 「プラコプターを飛ばそう!」 簡単に出来て、子供たちも飛ばすことに夢中になる実験です。 「行ったり来たり」 ゴムの弾力エネルギーを運動エネルギーに変換。振り子も位置エネルギーを運動エネルギーへ。何だか似てますね。 「フランクリンモーター改良版」 静電気で回る、フランクリンモーター。送電線の絶縁効果を高めたので、よくまわります。 「踊るセメダイン」 表面張力に注目し、わかりやすく解説をしています。 「ファラデーの電磁回転」 世界初の電磁力で動くモーターの作り方と原理、ファラデーの功績を紹介。 「ファラデーの電磁誘導」 1831年にファラデーが発明した電磁誘導の説明と実験を紹介。 「電磁調理器を使ってUFOを飛ばそう!」 電磁誘導を利用して加熱する仕組みの電磁調理器を使って、アルミホイルを浮かせます。 「ピカピカモーター」 1.5vの乾電池1個では点灯しないはずの発光ダイオードが電池1個でクルクル回転しながら点灯します。 「モーター発電&逆起電力」 モーターは発電機と同じ構造をしていること、モーター回転しているときには逆起電力が発生する仕組みがわかります。ヘンリーの功績も紹介。 「単極モーター」 「単極モーター」は電池、くぎ、磁石、導線があれば、簡単に出来ておもしろいほど回ります。回る原理はくぎからの漏れ磁束が起因してると考えます。フェライト磁石とネオジム磁石の特徴も解説。 「ミニ掃除機」 ミニ掃除機は簡単な工作で作れます。応用版として自動掃除機にも挑戦! 「イライラ棒」 「イライラ棒」は回路を2回路にしたことで、電極棒がコースから離れてもライトが点灯し続けます。 「電気ブランコ」 「電気ブランコ」はフレミング左手の法則を利用してゆらゆら揺れます。スイッチを工夫したことで電池が持続する限り揺れ続けます。 「イライラ棒」 「イライラ棒2」はリレーを使って自己保持回路を作ることで、電極棒がコースから離れてもブザーが鳴り続けます。最も簡単な自己保持回路の説明を動画でわかりやすく解説しています。 「風船紙コプター」 「風船紙コプター」は風船から出る空気の圧力を利用して、回転しながら上昇をします。 「温風かざぐるま」 「温風かざぐるま」は対流を利用してクルクル回ります。 「くるくる糸」 「くるくる糸」はベルヌーイの定理(流速の速いところでは気圧が下がること)を利用して糸がクルクル回ります。 「アイスキャンデー」 「アイスキャンデー」は氷と塩を使ってマイナス20℃の状態を作り、ジュースを凍らせます。凝固点降下の説明もあります。 「不思議なペットボトル」 「不思議なペットボトル」は水を少し入れただけでどんどんお水が出てきます。大気圧と水圧に注目して考察してみました。 「ファラデーの電磁回転 左側の装置」 「ファラデーの電磁回転 左側の装置」1821年にファラデーが作った世界初のモーターの実験装置の左側の装置の回転方向を検証します。 「電気分解と燃料電池」 「電気分解と燃料電池」は水に食塩を入れて電気分解を行い、その後電気分解で発生した気体(水素と塩素)を使ってモーターを回したり発光ダイオードを点灯させます。 「ガウス加速器」 「ガウス加速器」は磁界に置かれた鋼球(パチンコ玉)がポテンシャルエネルギー(位置エネルギー)を持ち、それを運動エネルギーに変換しながら速度を上昇させていきます。 「くるくるマグネット」 「くるくるマグネット」は磁石2個の間にCDをはさみ、下側の磁石を斜めにした状態で移動させると、上の磁石がクルクル回転します。上の磁石にマスコットを乗せて簡単なおもちゃを工作します。 「コヒーラ」 「コヒーラ」は圧電素子を押して高電圧による火花放電で電磁波を発生させ、その電磁波でアルミホイルの酸化皮膜を破り、モーターを通電状態にします。 |